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醒脳開竅法の概要


古典中医学において、「脳」という臓器はほかの臓器と比べて、

実はあまり多くは語られていません。


脳に関する代表的な古典記載としてあげられるのが

「脳為奇恒之腑」と「脳為元神之腑」の2つです。


この「奇恒之腑」という中医学独特な概念と

中医学における「神」の定義を深く掘り下げることで、

実際に効果のある治療法を理論的側面からも

より体系だったものとして構築したのが

醒脳開竅法であるといえます。


人間の体内の器官を臓と腑に分けたとき、

中になにかを貯めて漏らさないようにしているのが臓で、

常に中にあるものを外に排泄して貯めないようにしているのが腑であると

いうふうに中医学では定義しています。

たとえば、肝臓や腎臓は臓であり、胃や大腸は腑と分類されるわけです。

奇恒之腑と呼ばれるものはこのどちらにも属さない器官です。


どちらにも属さないのですが、どちらの特徴も備えているというのが

奇恒之腑の特徴であり、脳もこの奇恒之腑に属します。


醒脳開竅法の理論では奇恒之腑である脳が

中にためて漏らさないようにしているのが精髄

中から外に常にだしているのが神気

であるとしています。


精髄とはいわば脳の実質であり、腎で作られるとされています。

神気とは脳には元神とよばれる

人体のすべての活動をコントロールする存在があり、

この元神から全身に対して発せられる指令のようなものです。


余談ですが、

杉田玄白らが『ターヘル・アナトミア』を訳す際に

Nerve を意味するオランダ語「zenuw 」に対して

神気と経脈をあわせて作った造語である「神経」を

あてはめたとことから、日本ではNerveを神経とよぶようになった

とされていることからも、

「神気」という言葉が、どのような意味で当時使われていたかがうかがえます。

ちなみに「経脈」とはなにかというと、古代の中国人が考えた、

人体の気の通り道です。この通り道上に点在するのが、

いわゆるツボなわけです。


話がずれましたが、全身に対する指令、則ち神気が脳から発せられる、

ゆえに脳は元神の腑、つまり元神がいる場所であるといわれるわけです。


脳は常にこの神気を外に発露することで、

全身をコントロールしているわけですが、

普段の不摂生によって

体内に余分なものがたまりすぎると、

脳が神気を外に発する際にこの余分なものが邪魔になります。

神気がコントロールすべき部分まで届かなくなると、

腕や脚が動かない、うまくしゃべれない、うまく飲み込めないなどといった

脳血管障害の症状が現れる

というのが醒脳開竅法における

脳血管障害のメカニズムです。


したがって、治療の際は、

脳の実質である精髄を補うための腎がうまく精髄を作れるよう調整したり、

神気を阻害する病理物質が代謝されるように促したり、

といった作用のあるツボを多く用います。


もともとは脳疾患に対して特異的な治療法として

考え出された醒脳開竅法でしたが、

その理論と実践から、現在ではさまざまな疾患に対して、

有効であるとされ、多く用いられています。