痛みの鍼灸治療

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様々な疾患に見られる「痛み」症状

頭痛、くびの痛み、肩の痛み、胸痛、腹痛、腰痛、膝痛、脚の痛みといった比較的多く見られる疾患をはじめとして、 「痛み」という症状は非常に多くの疾患でみられます。中にはあまり耳慣れない疾患や·、原因がわからず 病名さえつけられないような場合もあります。周りの人に分かってもらえいような痛みの場合、精神的にも大きな苦痛を伴い、それが更に痛みを増加させる原因となる場合もあるようです。

腰痛の画像

「痛み」の定義

2020年、国際疼痛学会(IASP)は1979年以来、初めて「痛み」の定義を改訂しました。この定義とそれ以前の定義の最も違う点は、以前の定義が「組織の損傷」を痛みの前提としていたのに対し、新しい定義では、「組織の損傷がない痛み」を痛みの定義に取り入れているというところです。他にも、痛みが「個人的な経験」であり、その要因が多様であること、痛みと侵害受容(痛みを生じるような刺激を受けること)とは別の問題であり、痛みを感じる神経の活動を観察するだけでは痛みを推測することはできないといった内容が盛り込まれています。

痛みの定義の画像

なかなか治らない痛み

前述の定義によれば、「痛み」の発生は必ずしも、痛む部位が炎症を起こしていたり、神経が刺激を受けているとは限らないということになります。痛む部位の炎症を抑えたり、痛い場所を通る神経をブロックするような治療をしても、なかなか治らない痛みをかかえる患者さんがあまりにも多くいることが、「痛みの定義」を変えたといえるでしょう。

腰痛の女性の画像

痛みは鍼灸の得意分野

実は「痛み」の症状は鍼灸の得意分野であると言えます。これは「痛み」に対する鍼灸の考え方が非常にシンプルであるためと考えられます。伝統的な鍼灸では人体には「経絡」という体をめぐる通路のようなものがあるという考えにもとづいて治療を行っています。この通路の通りが悪いと痛みが起こるというのが中国伝統医学(中医学)の考え方です。

経絡の画像

「不通則痛」「通則不通」

「通ぜざるは痛み、通ずれば痛まず」という考え方を前提に、痛みのある部分を運行している経絡が滞りなく運行するように治療を行うと、痛む場所から離れたツボにはり・きゅうをしても痛みがとれることが多々あります。他にも、肘が痛むときに膝の周辺のツボにはり・きゅうをしたり、右の足が痛むときに、左の足にはり・きゅうをしたりといった方法があり、これらはいずれもはるか昔に書かれた本に記載された治療方法ですが、しばしば思いがけないような効果を発揮します。

ディスポ鍼の画像